その言葉に「そうか」とあっさり頷き、差し出された手を取る。 青年は少し拍子抜けした気がした。喜べとは言わないが、こうなんかあるのではなかろうか?やはりこの少女は普通と違うようである。なんといっても、数刻もたっていない最初の出会いがあれである。まぁ、普通でない自分には釣り合うのかもしれない。後にこの時、何故あっさりと手を取ったのかと訊いたカルサムスに彼女は、「その時が来ることは分かっていたからだ」と答えた。だから、準備はしていたのだ、と。 「一つ、頼みがある。」 マグノリアは真剣な表情でカルサムスの顔を見ている。 「ん?妹さんのこと?」 「そうだ。一緒に連れて行ってくれ。」 「大丈夫。一緒に連れて行くよ。最初からそのつもりだったから。」 その言葉にマグノリアは訝しげにカルサムスを見つめる。 「まぁ、こっちにも事情があってさ。本当は魔界も"月の雫"が一人だと思っていたんだよね。こっちにも例外が起こっててさ、皇子が2人居るんだよね。これが」 そういって、あっさりと事情を暴露する。 「だからさ、そんなすまなそうな顔しないでよ?エリス?だっけ」 そう言って、エリスに視線をやり優しく微笑んだ。 「はい〜」 ホッとしたようにエリスも顔を綻ばせる。 「そうして笑っていなよ、エリス。その方がマグノリアも安心するよ。」 うんうんと自分の言葉に頷いて、 「良かったな〜あいつ。あいつの好みピッタリじゃないか。」 この言葉に"月の雫"である2人は首を傾げる。 「誰のことを言っているんだ?」 マグノリアは尋ねた。 "おかしい。何かがおかしい。違和感を感じる。私は何かを勘違いしている…?" 「ん〜?弟?」 「弟?誰の?」 「俺の」 しばしその場は沈黙に支配された。 そして驚愕。 「じゃ…皇子?お前が?私の相手?」 「え?そうだけど?」 「普通、皇子自ら来ないぞ!!だって、前回の時も配下が来たはず!!」 「あ〜母上…?。いいじゃん。前は前。俺は普通じゃないし?」 「えと〜皇子様…」 「え?いいって、カルって呼んでよ。弟と仲良くしてやってな?」 「はい〜カル様」 「お前がもう一人居るのか…」 「あ、勘違いしてるな?言っとくけど正反対だよ、俺と」 「胸張っていうなそんなこと!!」 旅立ちの時は近づいていた。そして、時は騒がしく過ぎる――― |
今回の更新は少しばかり早いですね。 でも、話し短いしっ。精進せなな。(少し遠い目) 今回は暴露話になっております。カルに弟居ます。裏話(短編も書きたい)。 それより“とっとと本編書けっ”と言われそう。 |