「誰だ!?エニスを泣かせる奴は!」 それは上方から響いた。木々の枝が鳴る―――そして、それは降ってきた。 「これって何の冗談?」 喉元に鞘のかかったままの剣を突きつけられた青年はぼやいた。 「貴様は!!エニスを泣かせたな!!何故そ――」 「止めて!姉さま!!その方は違います〜!!」 「エニス?」 何故この妹はそのようなことを言うのか、と訝しげに小首をかしげる。事実、涙の跡がその頬に残っている。 「その方は姉さまと同じです〜」 その言葉に姉さまと呼ばれていた少女はハッとしたように青年に向き直った。 喉元に突きつけていた剣を傍らに納め、何故だという問いを含んだ視線を青年に送った。その意を確実に捉えた青年がその問いに答えた。 「え〜と?"月の雫"だったからだけど?」 「………」 「だから、俺は君を捜しに来たんだよ。」 その言葉に少女は反応した。 「貴様、何処の組織の者だ?」 「え?」 何のことかと青年の表情は言っている。が、少女の剣を持っている腕が行動に移ろうとするのを見て青年は慌てた。 「え、斬られるのはちょっと勘弁っ。すぐ治るけど少し痛いっ。」 「すぐ治る…?」 少女は少し目を伏せ考え込む。 「あ。そうか、ゴメン誤解させたのはこの姿の所為か。」 そう言った瞬間、青年の姿は変わっていた。いや、青年の造作は何一つ変わっていなかった。だが、その色彩は大きく変わっていた。何の変哲もなっかた茶色の髪と目は、今や髪は鮮やかな紅色の光沢を放ち、その目は金色の光を放っていた。 「魔族…」 「そ」 「魔族だから感じられたのか…」 「え?それも有るけど人間にも分かる印があるじゃないか」小首を傾げつつ青年は続ける「だって、妹さんも印があるでしょ?見て分かる印がさ。"月の雫"の印は銀紫の髪に赤い瞳だよ?"月の雫"以外には現れない最も分かりやすい特徴じゃないか。」 「なるほど。人間は頭が固いんだな」 「は?伝わってないんじゃなくて?」 「そうだ、伝わってはいる。が、前例がないために必ず一代に一人だと決め付けているらしい…」 呆れたように少女は言った。 「はぁ?そうなんだ」 そう相槌を打った青年も呆けている… 「あ、そうそう肝心の用件を忘れてた。俺はカルサムスだよ。えっと……………?」 「私はマグノリアだ。」 「うん、マグノリアを迎えに来たんだ。」 そう言って、カルサムスは嬉しそうに手を差し出した。 |
やっとこさ書きました。続き。2ヶ月…3ヵ月?ぶり… やっと、主人公たち出会いました。んでもって名前もようやっと出てきた次第です。 でも、展開考えなきゃな…筋だけしか考えてないし…出す人出したいしね。 |