序章:呼ばれてとびでて…エッ?!





里宇 : ん〜…あと5分…!



小谷 : って、止めれるわけないでしょ!いつまで寝
      ぼけてるつもりなの!里っちゃん!
里宇 : …なんだよ。コタ、また人の夢に出てきて
      んの?
      あ、兄さんとハスもいる〜。
先輩 : よぉ。
蓮川 : おはよ〜、里宇ちゃん。お久しぶりだねぇ。
里宇 : …変な夢。
先輩 : え?里宇、本気で夢だと思ってんの?
蓮川 : …夢にしては、ずいぶんはっきりしてますよ
      ね…。
小谷 : でも、こんな変な出来事は、夢だと思いた
      い。おにいさん出てきてるけど。
先輩 : え?俺いたら、ダメなの?
小谷 : ダメに決まってるじゃないですか。
      安眠妨害ですよ。
先輩 : なんていうか…小谷、夢にも出てきて欲しく
      ないほど、おれのこと嫌いなんだね…。
小谷 : いえ。苦手なだけです。
先輩 : あの、それはどう違うんですか?
里宇 : ことばが。
蓮川 : 里宇ちゃん、それ…フォローになってないと
      思う…。
里宇 : そう?ところで…ここどこ?
      なにこれ?魔方陣に…とびら?なになに…
      『ギョクザノマ』?なにソレ。とりあえず…開
      けるか。
蓮川 : え?!開けちゃうの?!
 

王様 : よくぞ来た!勇者たちよ!!
蓮川 : 王さ…ま?
里宇 : っていうか、アサコ?はぁ、僕にとってのアサ
      コさんって、こんなイメージだったのか…。
小谷 : あ、ちょっと納得。
里宇 : で、アサコ、なにやってんの?
王様 : いやいや、そんなことはどうでもいいから、
      あとよろしくね。
里宇 : …は?
王様 : だからぁ、きみらはうちらの希望の星なわけ
      よ。
      ってわけで、まおう倒してきてね♪
小谷 : は?!
大臣 : 王っ!そんな説明では相手に伝わりませ
      ん!
王様 : えーっいいじゃ〜ん。
大臣 : よくありませんっ!
      よろしいですか…
      はるか古の時代…(中略)異界の地より現れ
      たる者こそ、天上の王に選ばれた伝説の勇
      者なり――という予言を残して。そして今年
      が禍の星が倒されてから千年余り…!
先輩 : …ようは魔王倒しにいってくれ、っていう、
      すげー人任せなお願い事なわけだろ?
小谷 : あ、なるほどー。私途中から寝ちゃってまし
      たよ。
先輩 : 小谷、夢の中でまで寝るなんて器用だなぁ。
小谷 : なんかおっしゃいました?
先輩 : いえ…なんにも。
蓮川 : 小谷っち、笑顔が怖い…
里宇 : ん〜…。久々におかしな夢見てるなぁ…。
      はやく目覚めなきゃ。そして寝直そう!
小谷 : まだ寝るつもりなの?
      だいたいコレ、夢じゃないでしょう。
里宇 : え?



里宇 : 痛く…ないよ?
小谷 : …それはね、里っちゃんの神経がいまだに
     寝ぼけてるからだと思うよ。現実を見よう。
里宇 : 現実?
      魔王倒せとか言うアサコがいます。
      …よし!帰ろう!
小谷 : …。うん、そうだね。帰ろう。と、言うわけで、
      頼むなら、私以外の人にどうぞ。
      いやぁ、私、昨日録ったビデオまだ見てない
      んだよねぇ。
先輩 : 昨日何やったっけ〜?
小谷 : えっと〜…
大臣 : えぇいっ!
      お前らさりげなく帰るなっ!
小谷 : いや、だって、めんどくさそうだし。
王様 : うん。確かに。
大臣 : 王っ!余計な事はおっしゃらないでくださ
      い!
王様 : だからあんたらに任すんじゃん。
蓮川 : えっ?!
大臣 : 王っ!だから、そんな本当のことをっ!
王様 : だって、せっかく呼びだしたのに、言うこと聞
      いてくれないんだもん。だからさぁ、ここはひ
      とつ、犬にかまれたと思って倒してきてよ。
里宇 : 咬まれたら痛い。
王様 : …お・ね・が・い。
里宇 : やだ♪
王様 : 行け?
里宇 : い・や。
王様 : 行ってくれるよね?
里宇 : まさかぁ♪
王様 : …だぁっっっ!!
里宇 : よし!帰ろう!
先輩 : さっきもこんな台詞あったよなぁ。
小谷 : って言うか、チョット待て。里っちゃんも、おに
      いさんも、聞きたくないのは分かりますが、
      今さっきアサコさん、おかしなこと言わなか
      ったか?!
蓮川 : 異界の地より現われたる、って奴?
先輩 : あぁ、確かにあれはおかしいよな。俺ら別に
      自主的に来たわけじゃないのにさぁ。
小谷 : たしかにそれもおかしいけど、それ言ったの
      は大臣!
      そんなことよりアサコさん!さっき、『せっか
      く呼びだしたのに』って言わなかった…?!
王様 : 言ったよ。
      あ、そうそう、実は君ら、私が呼んだのよ。
小谷 : お前が原因かぁぁぁぁぁぁっ
王様 : そんなに喜ばなくても♪
      そうそう、分かってと思ってるんだけど、
      これ、夢じゃないんだよね。まぁ、一種のパ
      ラレルワールドかな?そこに、私が、この世
      界の救世主として、君らを呼び出したわけ
      よ。ほら、私って万能だから♪

蓮川 : (小声で)アサコさんって…"ぽじてぃぶしんき
      んぐ"な人だね…。
先輩 : (小声で)違う。あれは面の皮が厚いって言う
      んだ。
里宇 : (小声で)あ、なるほど。

王様 : で、私としては、魔王倒してきて欲しいのよ。
      って、いうかぁ、倒してきてくれないことに
      は、元の世界に返してあげるきないかなぁ。
      なんて♪
      ちなみに、里宇が勇者で、小谷が魔法使い
      で、先輩が剣士。蓮川は…僧侶でいっか。
蓮川 : いっか?!
里宇 : …どのゲームが悪かったんだろう…?
蓮川 : ゲーム?
里宇 : ん?だって、コレ夢でしょ?ドラ●エなんて、
      最近やってないしなぁ。
先輩 : あ、俺、昨日やった。
里宇 : なるほど。じゃあこの変な夢の原因は、兄さ
      んか。
      兄さんの馬鹿。アホ。ドジ。マヌケ。
先輩 : 里宇ひどっ
小谷 : …里っちゃん、いいかげん夢じゃないと、認
      めよう。
      で、アサコさん、いくらくれます?
王様 : は?
小谷 : だって、RPGの法則でしょう?わざわざ旅に
      出てあげるんだから、いろいろ優遇してくれ
      なきゃ!!
先輩 : あぁ、確かにソレは重要だよな。
小谷 : 武器と防具と、当座のお金と…
先輩 : 薬草とかも必要だしなぁ…。
王様 : つべこべ言わずにとっとといけーっっ
      っ!!!



完.